「生きる」
正直、ちょっと退屈しちゃうかな?って思ったんですが予想以上にとても良かったです!!
主人公が重い病を抱えて死に向かっていく姿を描いた作品って他にも沢山あると思うんですが、
変にドラマチックにしないところはさすが。
物語終盤、主人公を中心としないで話が進んでいくところもリアルに感じました。
知人関係の中で唯一癌を告白した、とよ(小田切みきさん)が葬儀に来なかったところも
良かったと思います。
最後の最後にとよが駆けつけてたら逆にちょっと嘘っぽく見えてたと思います。
(というか、ベタすぎる展開で)
「生きる」以外のクロサワ映画でも思ったことなんですが、今も昔もお役所仕事というか
体制ってやつ?は変わらないものなんだな、と思ってなんだか哀しかったです。
こんだけ世の中色々発展してるくせに。
主人公の渡邊勘治を演じた志村喬さんも本当にはまり役でした。
セリフが沢山ある印象ではないんですが、目線や後ろ姿なんかがとても印象的で、
特に公園を作る意欲が出た時の表情の変わり様にはぐっときました。
「ゴンドラの唄」で泣いちゃいましたよ…。
志村さんも良かったんですが、特に私が印象に残ったのは相手?役の
小田切みきさん演じる、小田切とよ。
本っっ当にめちゃくちゃ可愛らしいんです!!!!
ちょっとふっくらした感じで、天真爛漫で笑顔がかわいらしくて、はつらつとしてて。
勘治に「生きる」ヒントを与える大事な役どころで、ここでも黒澤監督の配役の上手さを感じたなぁ。
喫茶店?バー?で勘治が生きがいを見つけた時にバースデーソングを歌うグループと
入れ違いになるシーンは私も大好きです。
あと個人的にかなり衝撃を受けたのが、
とよが退職届の認印を上司の勘治からもらうために二人で勘治の自宅の部屋に入るんですが、
とよが勘治のコートや帽子を取ってハンガーにかけるシーンにビックリしてしまいました…(笑)
とよと勘治は職場の上司と部下の関係ですが、
自分の家や旦那さんのものでもない、ただの職場の上司の人にそんなことするんだ!?
…みたいな(笑)
おそらく当時ではそういう事が女性として当たり前のマナーというか、
女性の役割といった感じでしょうか。
たぶん今の時代にこんな事したら周りから止められるんでしょうけど
(もしくは変な気があると思われる…?)
でも、「なんてステキなの!!!」と一人感激したシーンでした(笑)
時代劇や活劇モノのワクワクさとかはない作品ですが、
現代劇(?)の作品ではこの「生きる」が一番好きです。
最近はやたら感動の押し売りや変に泣かそうとするものばっかなので、
黒澤明監督作品でこの「生きる」も人気なんだけど、やっとその理由が分かりました。
- 2011.01.28 Friday
- クロサワとミフネ
- 22:37
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